偽りの天使
そっくりそのまま瓜二つの青い機体。搭乗するのは、恐らく。
いや。間違いなく。
「そちらからお誘いしておいて逃げることないでしょう」
ダークシャドウ――!
「集団に告ぐ」
ノイズ混じりの声が無線を通して聞こえてきた。
「至急、撤退しろ。これより先の立ち入りは禁ずる」
機銃による撃ち合いの末、すれ違った機体に膝を付いて通信する少年をルーティは振り返り、そして叫ぶ。
「何か都合の悪いものでもあるの!」
少しのノイズが走って、
「……お前たちには関係ない」
「そんなことない! それが悪いことなら尚更だ!」
数秒の間を置いて少年はくすっと笑った。
「人の正義を異なる正義で食い潰すか」
少年は前髪を掻き上げて仰ぎ後ろに視線を向ける。
「いいだろう」
合わせてルーティの乗っかったウルフェンも旋回する。
「ならば撤退を余儀なくさせればいいだけの話」
金色の髪が靡く。
「我らダークシャドウ。全力で相手をしてやろう」