偽りの天使
「カービィ」
メタナイトがひと声呼ぶとカービィは溜め息を吐いた。
空をとんと軽く蹴り出して飛行し、落下するピットに真上から接近。差し掛かったところくるっと回転しもう一度空を蹴って降下、腕を伸ばし左の足首を捕らえる。宙ぶらりん、カービィはピットを呆れたようにじとっと見下ろして呟く。
「全く。手間かけさせないでよね」
レッドはネロの後頭部を押さえつけて勢いよく頭を下げた。
「ごめんなさい!」
足場が懐かしい。ピットが胸に手を置いてひいひい言っていたその時である。
「普段はこんなこと絶対にしないんだけど……ほら、謝って」
「わ、悪かったよ」
「いいよ全然気にしないで」
こっちとしては生きていればそれで充分である。敵に反撃を食らったわけでもないのに墜落死、なんていくら何でも笑い物だ。
「怪我はなかったか?」
「うん大丈夫」
無線から聞こえてきたロイの声に応答する。
「カービィが助けに来てくれたから」