偽りの天使
声をかけてきたのはレッドだった。
パートナーのネロも同行するが彼は翼をもって空を飛べるので、後のことは此方と同じような理由でフォックスを選んだのだろう。元暴走族と現役悪党じゃあな。
本当、この二人だけはどうしてX部隊に入れたのか不思議だ。
「うわっ」
あれこれ考えている内にエンジンがかかった。機体が揺れ動くのをピットが小さく声を上げると反対の翼に乗っかっていたレッドはくすくすと笑って。
「全機Gディフューザーシステム確認!」
「こちらファルコ。異常なしだ」
「了解、……ウルフは?」
少しの無言が続いて、
「……了解」
フォックスは苦笑気味に言ってハンドルを握る。
「目標、東北方距離二百」
いよいよ始まる。
「出撃!」
――空の奇襲作戦が。
「とっ」
ピットは思わず声を上げた。
「飛ばしすぎじゃあないですかぁぁ!?」