偽りの天使
「悪り、遅くなった」
ルーティはにこりと笑った。
「いいよ気にしないで」
中庭には現在、青の戦闘機が二機と赤の戦闘機が一機停まっている。前者がフォックスとファルコの搭乗するアーウィン、後者がウルフの搭乗するウルフェン。
「ったく」
既に搭乗していたファルコは無線を通して言った。
「ツッコミの追いつかねえ茶番見せつけられてるこっちの身にもなれっつの」
「あはは……」
何だかんだ待っていてくれたのだ。確かに口は悪いが、根はいい人なのだろうと周りの扱いで分かる。とはいえ全く気まずくないといったわけでもなく、ピットは苦笑いを浮かべながらすすす、とさりげなくフォックスの搭乗するアーウィンへ。
ウルフェンといった選択肢もあるにはある。が、相手はあのウルフ。パートナーのルーティはともかく彼の肩書きといえば宇宙を蔓延るならず者を寄せ集めた悪党集団スターウルフ率いるリーダーで且つ左目に戦場の傷を抱えた隻眼の強面。
これだけ揃ってるのに怖くないわけがあるかっ!
「落ちないようにしてくれよ」
「安全運転でお願いします」
ビシッと敬礼するとフォックスは了解、と笑った。どうよこの安心感。
「俺もいいかな」
後ろから声をかけられ振り返る。
「どうも落ち着かなくて」