偽りの天使



――君は飛べるよ。

「ピット?」

思わず大袈裟に肩を跳ねた。

「うお、びっくりした」

同じようにロイは驚いたことに驚いて。

「ごっごめん」
「いやそれはいいんだけど」

ピットは小首を傾げる。

「お前さっきマルスに何か言われた?」


君自身が気付いてないだけで――


何もこういった発言は彼に限った話じゃない。パルテナ様もそうだったし誰も彼もでは少し大袈裟だろうけど殆どの人が何故かそう口を揃える。会って間もない相手だろうがそうでなかろうが……ここまでくるといい加減、何処かで話を合わせてはいませんか、なんて疑いたくなるんだけど実際どうなんだろう。

「もしもーし」

はっ。

「何も言われてません!」
「……本当に?」
「本気と書いてマジ!」

ロイはじとっと見つめていたが最終的には何処か腑に落ちない様子で、

「……ならいいんだけど」
 
 
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