偽りの天使



食事を終えて、食器を受取台の上へ片す。

「ピット」

向かいの厨房から声をかけてきたのはピーチだった。

「頑張ってね」

彼女も空中浮遊は可能であるが今度の作戦からは外れていた。どうせなら彼女に任せればよかったのに、なんて捻くれた考えが頭に浮かぶが考えてもみれば相手はお姫様である。自分がリーダーだったとして、遠慮するなと言われたところで今回の作戦で協力を要請するにはちょっと気が引けるなあ。

「ファイトです!」

ぱっとピーチの隣に出てきたのはゼルダである。

それも奥で食器を洗っている最中だったのか洗剤を染み込ませたスポンジを片手にきゅっと握るものだから泡が散ってしまい。

「……ゼルダ」
「すっすみません!」

イメージと違う。

「ピット」

声をかけられたのはその直後だった。

「……ちょっといいかな」
 
 
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