偽りの天使
「ユウ!」
もう一度はっと目を開くとそこにはリオンがいた。
見せられた映像に釣られて後ろに倒れかかった体を支えてくれたらしい。ユウは体勢を立て直して短く息を吐き出す。
「大丈夫か?」
「ああ」
結局誰の視点だったかまでは探れなかった。
「……空だ」
「ん?」
「視界いっぱいに飛び込んで、だが次の瞬間には遠ざかっていった」
頭を抱えたユウの瞳は赤と紫と点滅を繰り返している。
「……映像の切れ目に黒い羽根が映った。どれも誰なのかまでは分からない」
「ふむ。それだけじゃまだ何とも言えないな……」
ユウはリオンを一瞥。
「気持ちは分かるが能力の使用は控えた方がいい」
言動に示すより先に読まれてしまって、ユウは目を逸らす。
「……肝に銘じておく」
「おおっ素直だな! デレか!」
「五月蝿い」
「あの」
ユウとリオンは揃ってリンクに注目。
「ナチュラルに溶け込んでる中申し訳ないのですが……」
なんでここに。
「……ふ」
リオンは小さく笑って、
「これで三人の秘密だな!」
「……はあ」
神出鬼没。