偽りの天使
程なくして手放された羽根は風に乗せられて舞い落ちた。
「知りませんね。聞かせてどうするのです」
ふわり、リンクの頬を掠めて。
「いわゆる忠告かなぁ」
地面に到達したがまた風に掬われ、舞い上がる。
「その方が緊張感あるんじゃないかな。両手いっぱいに守りたいもの抱えてさ」
翼を大きく羽ばたかせる。次いで広げるとダークピットの背後に縦に渦巻く紫色のホールが現れた。踏み出そうとするユウをリンクは左腕を払って止める。
「賢明だねぇ」
「そんな貴方に土産話をひとつ」
鬼が出るか蛇が出るか。
苦みを含んだ笑みを浮かべて。
「偽物では本物をいつまでも庇い切れませんよ」
ざわざわ、と。
何かが突き刺さるのを感じた。
「……あは」
乾いた笑みを溢して後退。背中から侵入して、渦巻くホールは透明化、消失。
「何故逃がした」
含みのある態度を見せたが深くは追及できなかったか。
よく仕付けられているようですね……
「おい」
「すみません。少し考え事を」
「……見れば分かる」
ユウは呆れたようにはあ、と溜め息。