偽りの天使



レッドはモンスターボールをじっと見つめて、それから。

ぽんと宙に放り投げた。

「……う」

ボールが開き、吐き出された赤の光線が人の形を象ってネロの実体を解放する。

「ごめんよネロ」
「っは……こんくらい平気だ」
「もう少し頑張れる?」
「大丈夫」

言いたいことは分かってる。ネロは翼を羽ばたかせて飛行、ピット達の元へ。


「……?」

駆けつけたネロにカービィは振り返った。

「あんた大丈夫なの?」
「そりゃこっちの台詞だ」

カービィはふいと目を逸らして素直にピットを放る。

「っうわ」
「無茶しやがって」

向かいのネロが受け止める。

「ノーコメントで」

戦闘によるダメージはカービィの方が大きかったのだろう。確かにネロは戦況を保つべく回避と防御に専念していたが、一方でカービィは戦況を優位に返そうと積極的に攻撃を仕掛けていた。性格がよく表れている。
 
 
108/110ページ
スキ