偽りの天使



戦いに疲れた戦士たちの髪や頬を風が撫でる。……優しい風だった。

「あっ」

思い出してピットは手に持ったままだった剣を横に倒して差し出す。

「これ返すよ」

ダークピットの追撃を受けていたあの時。ロイが離れる直前、ピットは彼の鞘から剣を引き抜いていたのである。

「おっ」

気付いたロイが声を上げるとメタナイトは体の向きを変えた。

「……それから」

伸ばした手を止めてロイは疑問符。

「ありがとう」


ボクを信じてくれて。


「……ああ」

ロイはふっと笑って受け取った。

「皆、無事?」

無線を通してルーティの声が聞こえる。

「派手にやられたぜ。ウィングがボロボロだ」
「修理費、いくらかかるかな……」
「フォックスって本当に貧乏性だよね」
「せめて苦労人と言ってくれ」
 
 
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