偽りの天使
いやぁ、風が気持ちいいなあ……
「じゃなくて!」
ピットは叫んだ。
「どうなってるのおぉおお!?」
……劈く。
「おまっ何やってんだよ! 飛べ! 飛べって!」
「飛べないんだってえぇええ!」
そう。ピットは何故か飛べなくなっていた。つまり絶賛降下中(超スピード)。
さっきの奇襲で力を使い果たしてしまったのだろうか――それにしたってこのタイミングで!? というか消耗品!? でも羽根は残ってるし!
「どうすんだよ!」
「こっちが聞きたいよ!」
お決まりの台詞を交わしたところで状況変わらず、潮の匂い。
「いやあぁああああ!?」
神様! って駄目だロクでもない! 女神様! ってこっちもアウトだ!
ああもうとにかく誰でもいいから助け――
「……あ?」
がくんと急停止。思わず間抜けな声が洩れた。
頭上から息をつく声。
「……間に合った」