偽りの天使



「……なんで謝るの?」

軽い口調だがダークピットは少しの笑みも浮かべずに聞いた。

自嘲というやつだった。

「悪くないじゃん。あんたは飛べないんだから」
「……うん」

少しの間を置いてダークロイは言った。

「でも、痛いよ」


……はたと声を失う。


「僕が痛くなくても」

ダークロイはきゅっと服の胸元を握る。

「……ピットが痛かったら」


小さな声だった。


「……ふぅん」


今はまだ、たどたどしく。だけど。

――偽りはいつか。


「さっさと帰ろうぜぇ?」

ダークフォックスは笑った。

「八つ当たりの内容が増えない内にさぁ」
 
 
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