偽りの天使
――ばつん、と。
剣が繊維を裂き骨を断ち本体から斬り落としたのは。
「……!」
紫の髪の少年が背中に抱える、極彩色の歪な硝子の羽根――
「……けて」
ファルコははっと振り向いた。
「ハッチを開けて、早く!」
要するに。初めから眼中になかったわけだ。
ダークピットは目を細めた。戦線を正し優位に立つのが目的ではなく、あの羽根が息を吹き返し空を飛べたその時点でそれだけが目的だった。
まさか、上空から軍の要に奇襲を仕掛けるなんて――
「……あれが」
黒の羽根が舞い落ちる。
「俺たちに足りないもの……」
ぽつりと呟いた。
「絆……」