霧雨の視界
「確定した未来にズレを発生させ、別の未来へ繋ぐ」
リオンは目を丸くした。
「そんなことがっ」
「私は今まで、確定された未来には逆らうことが出来ないと“思い込んでいた”」
……なんと愚かなことだ。
「ぷっつりと切れた映像のその先を、想像したことがなかったから」
未来は変えられた、なんて。
「……そうか」
彼はきっと、呆れていることだろう。
自身の能力でありながらその仕掛けに気付けなかった。気付けなかったどころか、他の誰にも頼らず、自分一人抱え込み被害者面で塞ぎ込んでいた。
ああ、自分は大馬鹿者だ。誰よりも愚かで、誰よりも罪深い。
全くその通りだったじゃないか。
良くない未来を見るばかりの人殺しも同然の男。
なんで、どうして。
自分は昔からそうなんだろう。
誰に、何も言えないような臆病者なんだろう――
「ありがとう」
その声に、はっと目を開いた。