霧雨の視界
ドスッ、と鈍い音が響いた。
予め仕掛けておいた、紫の光を纏い生成された一メートル程もあろう刃が、此方を振り向いたリオンの無防備な背中から胸の中央にかけて貫き、そして彼の真正面に構えていた私の腹部にまで貫通したのだ。
……これでいい。
「ユウ!」
未来は変えられない。
溢れ出した血を止める術だって。
リオン。これが現実というものだよ。
非情で残酷で抗えない。
だからこうするしかなかった。
「……、」
倒れかかったリオンが何かを呟いたが聞こえない。
重く体重がのしかかってくる。私はその体を受け止めながら、空いた右手でくいと刃を招いた。従ってずん、ずんと刃は更に深く突き刺さり鮮血をこぼす。
次第に、ではなくぷっつりとそこから先、意識が途絶えた。
……彼らの望んだ結末にはなり得ただろうか。