霧雨の視界
中から弾かれるように。
不意にリオンを覆い隠していた砂煙が晴らされた。……無傷。
「――知っているさ」
ぽつりと答えたが刹那、その前方でまだもくもくとあがる砂煙の中からユウが飛び出した。現時点リオンの構えは上段。低い姿勢で迫る次の一撃は。
――躱せない。
「っ、」
その懐に素早く潜り込んで踏み留まり、後退を図るべく背中を後ろに持っていきつつ両手を腹部へと翳し、直に波動を喰らわせて大きく弾き返す。
防御の遅れたリオンの体は結果として吹き飛ばされ、玄関を過ぎて雨降り頻る外の世界へと投げ出されてしまった。体は地面を擦っては跳ねながら、しかし、何度目かで反動を利用し飛び起きて足の裏を擦りつつ踏み留まる。
……基本的に、超能力というのはサポートに適しているが故、それ単体では大して威力も期待できないし大きなダメージには当然のことながら繋がらない。
無意味などではなく。
予知した未来を違えた試しがない。もし、万が一にでも可能性があるのなら。
「巻き込みたくない、と」
リンクはリムの隣に出てくるとくすっと笑った。
「え……?」
「かっこいいじゃないですか」
「ほんま惚れてまうで」
そして挟むようにして現れたのはドンキー。
「……、」
――負けたるなよ、ユウ!