霧雨の視界
昔からそういう奴だった。
「っ……いいから」
「格好なんか付けさせないわよ!」
喜怒哀楽を包み隠さないはっきりした奴で、戦うことに誇りを持っていて。
幼い頃から自身の能力にコンプレックスを抱いていた。まるで真逆で、それでいて前向きに前へ、前へ。遠ざかって見えなくなって。
だからあの時も突き放されたことに、当然だと自分を嘲りながら。
必死に追いかけようとして、救われようとしていた。
自分が疎ましくて。大嫌いになって。
――いつか。どう足掻いても逃れられない未来の淵へ沈んでしまえばいいのに。
こんな能力があるから。
自暴自棄になって、突き放すのが癖になって。
塞ぎ込んで。外部との接触を拒んで。
「ユウ!」
黙っていれば。関わらなければ。
誰も犠牲にならないって。そう思っていたのに。