霧雨の視界
その視線は確かに、自分へと注がれていた。
間もなく、胸に深く突き刺さる数多の言葉の刃――その矛先が、自身に向けられているのだと知ったがそれでも尚、ユウは小さく目を開いたまま動けない。
決定された未来。何度も見送ってきた。
だって、自分にはどうしようもなかったから。この目に映るのは運命の結末だけ――その先の為に捻じ曲げることは疎か触れることすらかなわない。
ただひとつの理不尽な選択肢。
変えられるはずがない。だから変わらない。変わらない。
「……違う」
無意識の内に言葉がこぼれた。
「っ、」
――諦めたくない。受け入れたくない。
助けたいよ。
「仲間だからじゃない。パートナーだからじゃない」
それは赤の他人だろうと変わらない。
「後悔した。あの日の過ちを繰り返したくない。でも、分かっていても逆らうのが怖くて、本当は、自分の命が可愛いばかりの臆病者で」
自分に精一杯だった。
「助けたい」
膝の上に置かれた拳が握り締められる。
「あの日、あの場所で。立ち止まったままでいる、自分を……!」