霧雨の視界
ルーティはこくりと頷いた。
「……もう、分かるよね」
敵対組織、亜空軍所属。
姿形だけでなく能力までもが瓜二つの偽物集団。
――ダークシャドウ。
「一斉に動けば警戒される可能性がある。そこで」
「我々の能力を使って探れ、ということだな」
リオンが口を挟んだ。
「この事件に関する被害はでかい。死人も出ている」
ウルフは吸い終わった煙草を灰皿に押し付けて。
「てめえの予知能力と。てめえの読心力で奴らを見つけ出せ」
澄んだ紫色の瞳と、燃ゆる橙色の瞳が目の色を変えた。
「……天気が悪いな」
リオンは空を見上げて呟いた。
灰色がかかった白い雲に覆われた今日の空は何かを予兆しているようで。容赦ない雨が降り出すのか。はたまた、雲の切れ間から太陽の光が射すのか……
「ユウ。雨が降ったらホテルに泊まろう。愛と名の付く」
「馬鹿なことを言ってないでさっさと済ませるぞ」
「あぁん冷たい」