霧雨の視界



――ああ。

分かってしまう。最も嘘であってほしいそれが、真実であることを。

この目は悟ってしまう。


理想を壊して。

いつも、自分を傷付ける。


「何も知らない癖に。能力者ってだけで化け物呼ばわり」

そろりと頬を撫でられるのにリオンは動こうとしなかった。

「本質は誰とも変わらないのに」

うん。

「辛かったよな。苦しかったよな」

……うん。

「ラクになっちまえよ」


本心を曝け出せ。

素直になって自分を解放しろ。


「ぁ」

両目を塞ぐようにして当てられた手のひらは温かかった。

そうだ。彼だって兵器ではない。人間なのだ。


何も変わらない。


……これは、自分だ。
 
 
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