霧雨の視界
ぱたん、と扉を閉める。
一人にしてくれというユウの要望により、三人は退室していた。
「ごめんなさいね。せっかく心配してくれたのに、あんな調子で」
「そんなんちっとも気にしとらんて」
並んで廊下を歩きながら。リンクは腕を組む。
「……仲、悪くなりましたか?」
「昔は互いに手ぇ引いて遊ぶ仲やったんになぁー」
悪気こそなかった。だがリムがそれを聞いて表情に影を落とすのを見て、それが成長によるすれ違いとは大きく異なるであろうことが窺えた。
「……私がいけないのよ」
リムは立ち止まる。
未来は変わったかもしれないじゃない!
どうして。良くない未来を見るばかりで貴方は何も出来ないの!
そんなの人殺しも同然じゃない!
「……初めて聞いたわ」
思い出すだけで、胸が締め付けられる。
「中学に入った頃の話よ。あの時の悲劇を自分は予知していたのだって」
「……あれをですか」
リムはこくりと頷いて。
「許せなかった。本人がそのことを口にするのにどれだけの時間をかけていたのかさえ忘れて私はあんなことを口走ってしまった」
簡単に言えるようなことじゃない。
怖くて、苦しくて。罪に苛まれながら。
縋るように。