霧雨の視界
自動式の扉が開く音を耳にして。三人は振り返った。
「ユウ、リオン」
どうやらここで間違いはなかったようである。
「お疲れ様。どうだった?」
「……ダークシャドウとの接触に成功した」
そこまで言って、ユウは視線を落とす。
「だが、……すまない。何ひとつ情報を得られないまま、逃した」
責任感の強い人だ。二人のその姿を見れば、彼らとの戦いもそう楽でなかったことが窺える。情報を得る為に尽くし、兎にも角にも全力だったのだろう。
「十分だよ」
ルーティはふっと笑った。
「これ以上のことはさせない。街の警戒を高め、必ず守る」
――やっぱり。お前はあいつの子供だな。
それだけの言葉で救われた。
ほっとしたのも束の間、ユウは彼らの間で見知らぬ少年が椅子に座っていることに気付く。室内は暗いので気付くのは少し遅れたが。
「……マジで合成とかじゃなかったんだ」
少年は足を組んで、同時にポケットから携帯を取り出した。操作する様子を見張っていると、画面を見せつけるように差し出して。ユウは目を開いた。
「ま、話は聞いてるよ」
驚くに決まってるじゃないか。
「ユウ・ブラン。あんたが兄貴のパートナーってことも」
何故ならその携帯の画面に、自分の寝顔画像が表示されていたのだから――