霧雨の視界
リオンが驚いたような顔をしたのは気のせいじゃなかっただろう。
それ以上のことは特に話されなかったので、二人は入れ替わるように扉を抜けて屋敷の中へ。――いるとすれば、恐らく。
「ここのセキュリティ超ぬるい。ハック余裕」
モニタールーム。その名の通り巨大モニターの他に小さなモニターと、それらを操作する機械やパソコンのある決して広くはない部屋である。
通信機には発信機能も搭載されているので、メンバーの事細かな位置はこの中央巨大モニターで確認可能だ。機械にはマイクも取り付けてあるので、操作によっては特定の人物に指示を下すことも。そしてそこにいたのは。
「ほんま最近の子供はやりおるわぁ……」
興味津々、覗き込むようにして身を乗り出し感心を抱くドンキーと、
「犯罪の類いだけどね……」
言いつつ苦笑いを浮かべるルーティ。そして。
「俺がやってんのは合法」
二人に挟まれて機械に備え付けられたキーボードを操作する少年。
「……ほい」
カチ、とエンターキーを押せばモニターの画面が切り替わった。
パソコンの操作は得意なご様子。
「何か変わったの?」
「ググれカス」
「先生も分からんのとちゃうか」
少年、はあと息を吐いて。
「単なるセキュリティの強化」
くるっと振り返る。
「ま、そういうわけだから。なんか奢れよなjk」