霧雨の視界
「二人だけで向かわせてよかったのか?」
所変わって、ここはエックス邸。
「そう言われると自信なくしちゃうんだけど」
書斎部屋といっても多くの本棚に囲まれたここは図書室のようなものだった。
参考資料として幾つかの本を手に取ってはルーティが腕に抱えていると、オリマーが読み終えた本を戻すついでに今度の任務について訊ねて。
「ユウの能力も、リオンの能力も。数ある超能力の中でも対象をなるべく絞らないといけないタイプだから、少人数の方が適切なんだ」
ルーティは本の背文字に指を辿らせながら。
「本当、人気の少ない場所を選んでくれてると助かるんだけど……」
場面は再びレイアーゼ中央街、路地裏へと戻される。
「しまっ――」
動きは読み切っていたはずなのに。
「ッは、ァ」
空中戦真っ只中。横を抜ける瞬間にリオンの手刀によって首後ろを打たれたダークルカリオは体勢を崩した。そこへ追い討ちをかけるようにして目前に現れたユウが容赦なく踵落としを繰り出す。
地面に叩き落とされるダークルカリオを一瞥して、ダークミュウツーは詰め寄ったリオンの蹴りを後方に大きく退いて躱した。
刹那、ダークミュウツーの背後に幾つもの紫色の光を宿す大小様々な大きさの球体が生成され、瞳が赤く瞬いたと同時に放たれる。リオンが躱しながら接近を試みる最中その後ろで浮遊するユウは念力で球体を弾いて。
「っ……!」
目前。目を開くダークミュウツーにリオンはにやりと笑う。
「その程度では我々に敵わないぞ?」