第二章
「ありゃ全部フォックスが決めたもんだ」
え?
「後々のことを考慮すりゃ妥当だろ」
気怠そうに息を吐いて答えるマリオにピットは訝しげな表情を浮かべた。……何か裏でもあるのか? 今回のトーナメントのパートナーの内一人が代表として参加するという条件は全員参加じゃ長丁場となってしまうから今日の内にリーダーを決める為にも簡略化するべく提示されたものだとばかり思ってたけど……他に何か理由が? そもそもなんでそれをフォックスが? どんな目的でそんなこと──
「!」
自動ドアが不審な音を立てたのも致し方ない。半端な場所に留まって聞き耳を立てようなどと下手なやり方をしようとするからである。こうなれば真っ向から話を聞いてやろうと顔を上げるピットだったが口を開き踏み出すよりも早く口と鼻を塞がれ室内へと引き摺り込まれた。そのタイミングでマリオ含む四人が振り返るも自動ドアは無人であるにも関わらず静かに且つ不自然に閉まるだけ。目配せを受けたカービィは小さく息を吐き出して自動ドアに歩み寄ったがふと足下に白い羽根を見つけて。冷めた目で見下した後で自動ドアのセンサーを反応させれば。
「Hey!」
鉢合わせたのは青いハリネズミ。
「どうしたんだ?」
カービィは目の前の男を無視してじろっと室内に視線を走らせる。バトルルームの中は相変わらず煩わしい程の声援に満ちていて誰もモニター画面に映し出される試合の映像に夢中の様子。その中に先程の確固たる証拠に該当する人物は見当たらない。
「……ピット見なかった?」
直球で訊ねてみる。
「さぁ?」
ソニックは肩を竦めた。
「それより、ルーティが一点取ったみたいだぜ!」
お前も見てみろよとばかりにソニックが親指で指すもカービィの様子は冷め切っている。それはまるで予定調和だと言わんばかりに。
「観戦しないのか?」
音が途絶える。
「別に」
無論これは錯覚に過ぎない。
「何でもいいよ」
まるでそれしか娯楽が存在しないかのように。はたまた実際そうであるかのように。薄型の箱に釘付けになる"一部の仲間達"を相手に蔑むような視線を送ったところでカービィは踵を返しながら。
「……分かってるから」