第二章



組んでいるパートナーの内一人が代表としてこのトーナメントに参加──!? なんてピーチの発言を心の中で復唱したところでルーティは自動式のドア横の壁に背中を預けて一部始終を気怠そうに見守る自身のパートナーをちらっと振り返った。どうするんだろうと見守っていれば短く息を吐き出すや否やくるっと体を反転させて退室。まだ説明が終わってないのに! とルーティは慌てふためきながら集団を掻き分けてその後を追いかける。

「ま……待って!」

バトルルームを飛び出したルーティが呼び掛けるとウルフは意外にもすんなりと足を止めてくれた。

「さ、参加しないの?」
「興味ねえな」

バッサリ切り捨てられた。

「えっと」

妙な沈黙が痛い。

「……あのさっ」
「どういうつもりで俺様を呼び止めた?」

ウルフは背中を向けたまま疑問を投げかける。

「まさかとは思うが」

かと思えば重低音の苛立ちを含んだ声色でウルフはようやく振り返ると尻目に捉えながら。

「テメェが戦うより俺様が戦った方が勝てるから──とでも考えたんじゃないだろうな」


あ、……


「くだらねえ」

ウルフは正面に向き直りながら冷たく吐き捨てて。

「第一。リーダーになったところで何になる」

返す言葉がない。

「参加するってなら好きにしろ」

反射で伸ばした手が躊躇いに応じて形を崩した。そんな傍目に見れば心悲うらがなしいルーティの様子など知る由もなくウルフはふんと鼻を鳴らすと。

「俺様には関係ないことだ」


……全て図星だった。パートナーの内一人にしか参加する権利が無いのなら自分より彼の方が適しているんじゃないかなとか。何よりそれで本当に勝ち進んでもらえたとしてリーダーになったところで何があるんだろうとか。無意識下でただの遊びの延長線上として今度の出来事を捉えてしまっていたことが彼の気分を害した要因かもしれない。

ルーティは目に見えて肩を落とした後でバトルルームを振り返った。兎にも角にも参加の有無は伝えなくてはと重い足取りで自動式のドアの前まで行くと入室する自分ではなく退室する相手側にセンサーが反応したのか思うより早くドアが開いて御対面。

「おにぃ!」

ルーティは目を丸くする。

「どこに行ってたの?」
「あ、いや」
「もうトーナメント表決まっちゃったよ!」


へっ?


「僕、参加するって言ってないよ?」
「そうだったの!?」

待て待て。誰が勝手に話を進めたんだ。

「まあでもその気がないなら棄権すればいいし!」

他人事だからって──

「一回戦! 頑張ってね!」


えっ。


「………………、え?……」
 
 
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