第二章
思ってたよりも真面目だったな……ルーティは「そっか」ともう一度呟いて口を閉ざす。有名人になりたい下心で入りました! なんて下賤な回答を期待していた訳じゃないけどついさっきまでふざけたやり取りを繰り広げていただけに肩透かしというもので。茶化して笑うような気には当然なれない──そんなことを思いながらルーティが覚悟を決めて残された緑野菜を口に運ぶと「偉い偉い」なんて褒め称えられた。目と目が合えばニッコリと笑ってみせる彼にルーティは意を決したように息を呑むと。
「カービィは?」
「僕?」
さっきの今で高度なボケを期待しているつもりもないが妙に注目してしまう。そんな視線を受けても尚カービィは変わらない調子で。
「僕はねぇー守りたいモノがあったからかなぁー」
そんな風に語尾を引き延ばしながら答えるものだからそれはそれで拍子抜けした。ピットと揃って呆気に取られている間に「片付けてくるねぇー」なんて本人はてきぱきと皿やお盆を重ねると食堂の奥へ。
「……美味しい食べ物を守りたいとか」
「作ってくれるコックさんを守りたいとか」
しっとりとした雰囲気から脱したいと思っていたのは同じだったのかピットとルーティは口々に呟いた後でぱっと顔を見合わせて小さく笑った。そんな時間も長くは続かず食堂の扉が勢いよく開け放たれたのは直後のことで。
「皆! 食事が終わったらバトルルームに集合よ!」
……キノコ王国のお姫様が朝から賑やかなことだ。
「どうしたの?」
「どうもこうも大事なことを忘れてたのよ!」
ルーティとピットは顔を見合わせて目をぱちくり。
「これは早急に対処する必要があるわ!」
X部隊が結成して早一週間。国を治めるお姫様だと侮ってはいけないということは短い時間の中で嫌というほど思い知らされた。かといって実際、事は重要なようでピーチは神妙な表情を浮かべている。とはいえ事情を聞かずに臨む勇気までは持ち合わせていないので「どういうこと?」なんてあくまで席を立たないままルーティが訝しむと。
「忘れていたのよ」
えっ?
「X部隊のリーダーを決めるのを……!」
そんなことある?
「あったのよ!」
ナレーションの声に応えないでください!
「そういうわけだから!」
ピーチは何処でもなくビシッと指差しながら。
「X部隊のリーダーを決めるわよ!」