第一章
ぽつりと零した少女の足元から頭の先までを濃紫の埃のような物質が這い上がったかと思うと真の姿を現した。それは形こそ瓜二つであるが肌の色や髪の色はまったく違う──まるで黒を被って染められたかのような異質な見た目で。
「弱いって自覚があるのなら初めから戦士になんかならなければよかったのよ」
謎の少女は怒りに声を震わせている様子で視界の端で密かに拳に力が込められるのが見えた。
「なのに、なんで今更」
「ぼ、僕は確かに弱いけど負けるつもりはっ」
「そんなことは聞いてないッ!」
ピチカは少女の凄みに尻込みをする。
「ッ……憎い……命令さえなければ今すぐここでお前を殺してやりたいくらい憎い……!」
殺気と同じくらい込められた暗く重い感情に、強い言葉を返すことができなかった。寄り添うつもりがあったわけでもなかったがそれでも邪険には出来るはずもなくて事情を訊ねようとしたピチカを察してすかさず少女は改めて鋭く睨みを利かせる。
「私は、お前のカラダなんかいらないッ!」
ピチカはハッと目を開く。
「……絶対に」
確かに見えたのだ。
「お前に──お前なんかに"あの人"は返さない──ッ!」
その少女が。
目に涙を浮かべているのを──
「……ピチカ?」
そんな彼女の回想など知る由もなく今度は逆に呼び直す形となったルーティは意識を引き戻されて振り返る彼女をきょとんとして見つめた。
「どうし」
「な、なんでもない!」
あれは一体どういう意味だったんだろう。
「えへへっ」
……でも。
「なんだかお腹すいちゃったね!」
もし。万が一にでも。
可能性があるのだとしたら。
「買い食いとかしちゃおっかなぁ……!」
……にぃには。
生きているのかもしれない、なんて──