第一章



す、と静かに手を挙げたのは。

「ユウ」

ルーティは驚いたように振り返り注目した。

「乗組員の話だが」

その男は腕を組みながら。

「運航乗組員は今回の件を何も知らないまま業務を全うしていたようだが客室乗務員の方は全員人間に似せたロボットだったらしく、着陸後は既に機能が停止している状態で発見されたそうだ」

男の名前はユウ・ブラン。藤色の髪は正面から見るとミディアム程の長さしかないが後ろ髪の長さは腰付近まで達しておりそれを三つ編みにして結って流している。百八十近くある身長に加えて終始人を寄せ付けない仏頂面であるのと切れ長の目が相俟って高圧的な印象を受けがちだが彼に関してはその通りなので、実は……なんて期待しちゃいけない。

ちなみに彼もまたポケモンであり種族はなんとあの伝説のポケモンのミュウツー。幼少の頃からの一貫してクールな態度は種族的な問題もあるのだろう。

「発見したロボットは?」
「解析結果は後日とのことだ」

リムの幼馴染みでもある彼は僕とピチカのことも昔から面倒を見てくれていたんだけど──だから仲が良いかと言われるとちょっと自信がないというか。

「ハメられたってことか?」
「知らん」

だってほら。超有名人の配管工のマリオさんが話しかけてくれたのにこの態度だよ? 最も状況を知るわけがないのは正論だけど言い方ってものが──

「ぴっ!?」


後ろから肩の上に手を置かれて零距離密着。

すぅぅ、と頭皮の匂いを嗅ぐ音。


「すべすべ柔らか白い肌。西洋の人形のように長い睫毛に硝子玉の如くまん丸とした無垢な瞳」

なんかいる。

「女子と見紛う華奢な体躯に発育途上の低身長」

なんかいる!

「最高だ……最高だぞ……!」

その青年は恍惚とした表情を浮かべながら。

「……願わくば」

恐る恐る振り向いたルーティにトドメのひと言。

「今すぐこの場でこの私を汚いものを見るかのような目で蔑み見下しながら犬でも何でも好きに呼んで踏み付けてください……!」
「ひぃやああぁあああっ!?」
 
 
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