第一章
X部隊メンバーが現実とも非現実とも区別の付かない不可思議な夢の中でダークシャドウとの対峙、基戦闘を強いられているものとはつゆ知らず。
場面は変わって──上空。
「っ!」
仮面の少年が指を鳴らすと漆黒の稲妻が放たれた。機転を利かせたウルフが機体を急旋回させたことにより直撃を回避したが仮面の少年の周囲には黒の閃光が常時火花のように散っており、必ず仕留めて落とすという圧倒的な敵意が感じ取れる。ルーティは次の攻撃に合わせて両手を突き出し電撃を放った。
「やるな」
相殺は出来たがまたも背後を取られる配置となりルーティは素直に喜べないまま奥歯を噛み締める。一方でウルフには狙いがあるようで機体を加速させた先にあった二機の青い小型戦闘機の内追尾する一機に向けて黄色のレーザーを放った。目論見通りといったところかその機体の操縦士は宙返りをして回避した後で無線を使って接触する。
「酷いじゃねえか」
ウルフは一瞬ぎくりとした。
「仲間だろ? 俺たち」
「──騙されんな!」
ウィンドウに同じ顔が二つも並ぶものだとは──これには硝子越しに様子を窺っていたルーティもギョッとした。直後に仮面の少年が自らを偽の影と謳っていたことに気付いたと同時に騙くらかそうと本物を演じていた一方が化けの皮を剥がす。
「おや。似ていませんでしたか?」
「まったく似てねーんだよ!」
「ウルフ!」
フォックスの声だ。
「そいつらは俺たちの偽物だ!」
「そーそ。騙されちゃ駄目っスよぉ?」
通信が割り込み頭が混乱する。
「余所見をするだけの余裕があるようだな」
しまった──! 仮面の少年の声にルーティは振り向きざま電撃を放ち目前にまで迫った漆黒の電撃を相殺したがバランスを崩しかけてしまう。ウルフは舌打ち混じりに操縦桿を切り、距離を離して。
「気をつけやがれ!」
「ご、ごめん……ありがとう!」
とはいえ。この状況は。
「ほらほらぁ!」
「くっ!」
無線を通して聞こえてくるのは有利な状況とは言い難い声。流石は偽の影といったところか力の差は想像以上といったところで、先手を取られてしまったばかりに裏を返せない状況が続いている。
「大変っスねぇ」
フォックスに対応した偽の影は悪辣に嗤って叫ぶ。
「──