第一章
強面の男は正面を向いて操縦に集中しながら。
「ウルフ・オドネル」
見た目通りの名前って感じだ。
「僕はルーティ・フォン」
思わず顔を綻ばせたルーティは膝を付きながら移動してコックピットに寄り添い握手代わりとばかりに硝子に手を触れた。強面の男基ウルフはその様子をちらりと横目に捉えた後で手を伸ばして──
「っ!?」
平手目掛けて不意の拳の一撃。
「調子に乗るなよ。鼠」
……これは。
「ね、鼠じゃなくてルーティですっ!」
ひと筋縄じゃいかなさそうだ。……
──森林都市メヌエルから飛び立って数十分が経過した。目指す天空大都市レイアーゼまでに掛かる時間は各地点に用意されている航空用のワープホールを使用しても二、三時間は要する。
肉眼では視認できないまでの距離は開いてしまったがパートナー云々に関しては一旦様子見でいいだろうと短く息を吐き出したのはX部隊メンバーを乗せた飛行機周辺を護衛するように飛行する二機の青の小型戦闘機の内一機を操縦するフォックスだった。
「……にしてもよかったぜ」
少しの雑音の後に無線が入る。
「調子良さそうじゃねぇか」
やり取りをしていたのはフォックスのパートナーであるファルコという青い髪の男だった。機体にはカメラが搭載されており、自分はもちろん相手にも機内の様子は無線を繋いだ時点でウィンドウが浮かび上がり常時把握できる仕組みとなっている。
「……アーウィンの話か?」
「バーカ。ちげえ」
ファルコはそう言って笑う。
「ルーティだよ。ちゃんと会ったんだろ?」
しん、と沈黙が訪れた。
「、わりぃ」
何気ない質問のつもりだったのだ。それが憂いを帯びた表情にさせてしまうものとは思わずファルコは条件反射で謝りを入れて目を逸らす。
「いや」
フォックスは失笑した。
「心配性だな」
「けどよ」
「よく似ていたよ」
懐かしむように遠くを見ながら。
「……あいつに」