第一章
さて、人物紹介といこうか──戯けた調子で声を掛けてきた少女の名前はローナ・アルフェイン。水色の髪をハーフアップサイドテールに仕上げており、それでいて結んだ髪の毛先がロールケーキのように巻いているのが特徴的だ。
「だがしかし安心したまえルーティ君! 斯くして美少女戦士の肩書きを無事冠したローナちゃんがこれから先訪れるであろうイジメや嫌がらせといった苦難から守ってあげ──ぜにゃぁっ!?」
といった具合に蔓の鞭による制裁が効果抜群のダメージを与えたのは無論彼女の種族が水タイプのポケモンのゼニガメだからである。
「飛行機の窓から見られているわよ」
冷めた目で制裁を下した少女の名前はシフォン・アルフェイン──セミロングの
「声は聞こえないじゃないかぁ!」
「好き勝手言っていいわけじゃないわ」
そうして腕を組む彼女の腕の上にはたわわな果実がどっしりと──こほん。実はこの二人姉妹であるのだがご覧の通り体型に関しては天と地ほどの差が、
「こらぁ! ナレーション!」
……こほん。ともあれ気になる彼女の種族はダネでもバナでもなくフシギソウである。そうと分かってしまえばあの大きな萩色の蕾に関しても大方納得がいってもらえるだろうか。
「騒ぐなって」
呆れた顔で
「レッドに怒られンぞ」
……ちなみに既に飛行機に乗り込んでいるようでこの場には居ないが彼ら三兄妹にはレッドという名前のポケモントレーナーがいる。カントー地方出身のその少年は各地方のジムバッジを全て制覇した上でリーグの殿堂入りも果たしているようで個性豊かな彼らを統括するだけの実力はあるといったところ。
「うはぁーい……」
信頼するその相手の名前を出されたともなれば苦い顔をして渋々と。ローナは気怠そうに返事をした後でようやく強面の男の存在に気付く。
「およ」
視線の先を辿ってルーティは苦笑いを浮かべた。
「……あれが、かっこよくて」
「優しくて」
「紳士的なお兄様、なのか?」
ローナに続いてシフォンとネロにまで口々に告げられてしまえば乾いた笑いしか出てこない。今日この顔合わせの日に至るまで表面上の好印象ばかり言いふらしてきた自分の後先の考えなさときたら!
……まぁ、かっこいいのは認めるけど。