黒炎の絆



打ち出した水鉄砲が上空を飛び回る影にようやくのこと命中する。今だとばかりに声を上げて合図を送れば大きく頷いた傍らの少女が人差し指を空高く突き上げて暗く陰る積乱雲を招いた。事態に気付いた影が逃れるべく瞬間転移を駆使するも初めの少女が浴びせた水が乾くはずもない。その間にも積乱雲は唸り声をあげて少女に導かれるがままその表面に青の閃光を走らせて。唸り声は轟音へと変異し、直後雷が影を追尾するようにして落とされる。

「!」

既の所で雷が念力によって捻じ曲げられた──ぎょっとする少女二人の側でこの隙を逃してなるものかとばかりにもう一人の少女が構えていた蔓の鞭を振るった。蔓は影の脚首に絡み付き、少女が力強く腕を引けば地上へ引き寄せられるようにしてバランスを崩したがここでもまた影の双眸が金色に瞬き念力が発動する。目と目を合わせた少女は鞭の持ち手を握る力が一瞬緩んだが辛うじて持ち堪えて。眉間に皺を寄せながら声を上げる。

「ローナ!」


その声は奇しくもレッドの声と重なった。


「……たあぁあっ!」

まるでジェットのように両腕を後ろに伸ばして水を噴出させながら地面を蹴り出して飛躍したところで蔓の鞭の引き寄せに抗い空中に留まるユウを捕捉。体を捻り勢い付けて踵落としを繰り出せば彼の体はそのまま地面に墜落して土埃を巻き上げた。遅れて着地したローナは即座に構え直す。

「来るよ!」

土埃を突き破って現れる、暴走メガシンカ状態のユウの姿に展開こそ察していたがピチカはたじろいで反応が遅れてしまう。すかさずローナがその間に割り込んで振るわれた拳を腕で受け止めた。骨が軋むのを感じ取りながら腕を引いたが直後地面を踏み込み、拳による追い突き逆突きと回し蹴りを見舞ったもののその一つ一つを丁寧に瞬間転移によって躱され反撃──といったところでローナの後ろから腕を伸ばして両手を翳したピチカが放電。

それすらも瞬間転移によって向かって後方へ回避されたが回避した先では次の攻撃が待ち構えていた。突如としてユウの足下の地面が不自然に盛り上がったかと思えば先端鋭利な木の根が連続して飛び出す猛攻。仕掛けた本人であるシフォンは地面に両手を触れる姿勢で回避するユウを目で追っている。


……やっぱり、速い!

これが、メガシンカの力──!


「!」

ユウの動きが不意に止まったかと思うとシフォンも異変を感じ取った。木の根が攻撃を繰り出さないどころか自身も地面から手が離れない。体勢を起こせない最中なぜか彼からも目を離すことが出来ない。

「金縛りだ!」

誰よりも早く状況を理解したレッドが叫ぶ。

「シフォン!」
 
 
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