黒炎の絆
主役の座なんざ柄じゃねえ、とは言ったが。
「リーダー!」
こいつら。
難攻不落にも程があるだろ──!
「ちっ」
目標目掛けて攻撃を放てど容易に妨害される。接近は当然許されるはずもなく立ちはだかった影が青藍の一閃を見舞った。それが水によって作り出した苦無によるものだと気付くのに時間は掛からず裂傷によって紐解かれた鮮血と水飛沫が混ざり合って地面に散らばる。追撃を頂くよりも先に声を上げた相方が威嚇目的で発砲した。影は苦無を用いて銃弾を弾いたが此方の頬に黒の閃光が走るのを尻目に捉えるや否や後方に大きく跳んで撤退。
「大丈夫ですか!」
「……そう見えたかよ」
「はいっ!」
そいつときたらその場に片膝を付いて肩で息をする自分を傍らに跪いて身を案じながら。
「リーダーなら勝てる相手です」
こんな時に。
求めてもいない言葉を。
「……あのミカゲという男」
ダークウルフはゆっくりと立ち上がりながら。
「厄介ですね──」
「厄介なのはこっちも同じなんスけどぉ!?」
地面を砕く音に振り返ってみればダークフォックスが土煙の中から抜け出しながら影虫に巻かれて黒い狐の姿に変異するところだった。地面を踏み込み、飛び出すも土煙を突き破って出てきた複数の波導弾が直撃を狙う。それを右へ左へ回避したが次の瞬間には頭上が陰り本体の鉄拳が降り注ぐ。
「ぎゃ!?」
「これはこれは」
一方で黒い鴉の姿に変異して空高く舞い上がっていたダークファルコも複数の光弾を躱したところで変異を解くと落下しながら二丁拳銃を構えた。タイミングをずらして発砲するも狙った相手は空中浮遊しながら双眸を金色に瞬かせるだけで、それだというのに銃弾は恐れをなしたかのように逸れていく。
「センスがありますね。うちの連中にも爪の垢を煎じて飲ませて差し上げたいです」
「んな化け物がチームに増えてたまるか!」
スピカが声を上げた直後。
「来ます!」
ダークウルフの声にスピカは裂傷を抱えながら立ち上がると視線を交わして回避を選択した。影分身を駆使しながら苦無を用いた斬撃や足技を繰り出して双方同時に防戦一方の状況を強いる──本来なら有り得るはずもない。けれど例のエネルギーを浴びて全ての能力値が上限突破している今の状況なら。
「!」
同士討ち覚悟で構えた銃の弾が確かに胸の中心を貫いたかのように思えたが刹那白い煙に巻かれて丸太が無造作に地面に落ちた。となれば、本体は──ダークウルフが振り返った先で応戦するスピカの目の前にまで迫っていたそれがまたも自分の時と同様に煙に巻かれて丸太に変化するのを見て。同時に彼の背後に接近する影に気付く。
「リーダー! 後ろッ!」