黒炎の絆
僕たちのことはともかく。……妹のピチカのことをこよなく愛するスピカのことだ。上司の許可を得てからの行動は早かったものと思われる。それでこの時間帯なのだとしたら交渉を持ち掛けたロックマンとしても苦渋の決断だったのだろう。
本来敵対する仲がそれだけの判断を迫られる。
事態は──深刻なんだ。
「そうそう」
またも死角から襲いかかろうとした暴走メガシンカしたポケモンをいとも容易く往なして。ルーティが感謝の言葉を言い伝える間もなくダークファルコはこの現状に見合わない明るい声で発言する。
「次、
何のことだろう?
「俺たち以外のメンバー貸し出し中なんスよ」
助太刀に来た割には少人数だなとは初めから思っていた。続いたダークフォックスの発言から察するに他のダークシャドウのメンバーは今ここにいる秘密結社SP隊員に成り代わっているのだろう。ロックマンがスピカに依頼したのはこのことだったんだとルーティが密かに納得していると。
「そんでリーダーってば"仏の顔も三度までだからな!"……なぁんて言い出すもんだからさぁ」
──回想。天空大都市レイアーゼにある中央司令塔四階フォーエス寮の一室にて。交渉に対する回答を繰り出す手前の一触即発の睨み合いが続いた後に少年は眉を寄せながら上司の文言を言い伝えて承諾する。助かるよなんて朗らかに笑う彼がどうにも胡散臭過ぎて奥歯を噛んだが直後指を差しながら。
「仏の顔も三度までだからな!」
「慈悲深いことだ。後二回も機会を?」
「勘違いすんな!」
酷く腹を立てた様子のスピカは勢いで。
「ルーと合わせて後一回だッ!」
──回想終了。
「まーバレるっスよね」
「バレましたねえ」
そういえば。
いつだったか僕も蒼の孤島アクエスにX部隊の皆とバカンスに行く為に成り代わってもらえないかとスピカにお願いしたことがあるんだった……今と似たような状況なら幾らか許されたのかもしれないが。
「す、スピカ」
「そんな目で俺を見るなッ!」
次また会う時は覚悟を決める必要がありそうだ──
「、!」
空気がひりつく。
「ヤベーの来んじゃね?」
「来ますね」
混戦した状況の中で違和感が肌に刺さる。
「八時の方角」
──発電所のある方向。
「来るぞッ、構えろ!」