黒炎の絆



例えようにも暗闇に一筋の光が差し込んだという話だけに収まらない。囲っていた壁を余すことなく壊されて光に満たされたとでも言うべきか。ルーティは応戦するフォーエス部隊の秘密結社SPの隊員を傍目にスピカの元へ駆け付けた。

「こういう大事なことはもっと早く言えよな!」

そしてこれである。

「妹を危険に晒しやがって!」
「ご、ごめ」
「ちなみにリーダーは意地悪で仰っています」

彼が参じれば取り巻きは必然的に。

「おい!」
「事件については聞いていた」

この状況に全く見合わない笑顔で話すダークファルコに続けて構えた銃を二、三発程撃った後でダークウルフが口を挟む。

「参じるのが遅れてすまない」
「う、ううん──」
「聞いてくださいっスよぉ!」

死角から。既に返り血のようなものを頬に付着させながらダークフォックスが飛び付く。

「俺ぇ! 今日るぅちゃんに呼び出されてぇ!」


ちなみに分からない人の為に説明しておくとるぅちゃんというのは第四正義部隊フォーエス部隊に所属する双子軍師の妹ルフレのことである。

なんと。その彼女と彼は恋い慕う仲なのだ。


「デートかと思ってテンション爆アゲで! 超張り切ってめかし込んで行ったのに……それなのに!」

まるで子どもが愚図るかのように。

「いざ待ち合わせ場所に行ったら隊長サンが居たんスよ!? その流れでリーダー呼べとか言い出して俺もうマジ超ぉトラウマ!」
「ちょっとした相談を持ちかけられたんです」

終始笑顔のダークファルコが話を引き継ぐ。

「相談?」


──昨今問題となっている暴走メガシンカの件で遂に我がレイアーゼ国が現在滞在しているポケモンを強制的に自国へ送還する取り組みに出た。

疑うつもりはないが人の形を与えられた多くの母国である森林都市メヌエルが安全地帯とも限らない。頭では分かっていても我々も国に飼われている以上思うように動けない。

どうかここはひとつ現状において比較的自由が利く君たちの力を貸していただけないだろうか?


大切な友人や兄妹の助けになると思って。……


「あれが恐喝じゃなかったらなんだっつーんだよ!」


否定できない。


「ま、マスターとクレイジーは?」

そんな脅し……お願いをされたところで結局はあのトンデモ上司達の思し召し次第──ところが。

「二つ返事でしたよ」
「えっ?」


ほんの一瞬手を貸してやるというだけで事が解決に導かれるならあらゆる手間が省けて楽じゃないか。好きに使われてこい。報告は怠るなよ。……


「どいつもこいつも!」

……先程から怒りに身を任せて打ち払われるスピカの雷が暴走メガシンカしたポケモンも死体と思しき人間も問わず薙ぎ倒していく。

「た、大変だね……」

利用してるんだか利用されてるんだか。……
 
 
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