黒炎の絆
それは。
あまりにも健気で、直向きで──切なくて。
「来るわよ!」
リムが声を上げるのと茂みの中から何かが飛び出すのはほぼ同時だった。その何かというのも凡そ想像した通りの暴走メガシンカしたポケモンで。一体や二体ならまだ可愛い数だが勢いよく飛び出してきた個体とは別にぞろぞろと続くのだから気圧される。
「む、無理だよぉ!」
真っ先に弱音を吐いたのはピチカ。
「こんなの相手してたら犯人が逃げちゃうよ!」
そうは言ったところで暴走メガシンカしたポケモンが都合よく引き返してくれるはずもなく。接近による物理攻撃に素早く対処するローナとリムの後ろでシフォンは距離を取りながらネロに向かって叫ぶ。
「後ろから援護してちょうだい!」
「、はあ!?」
「メガシンカしたら危ないんでしょう!」
見れば暴走メガシンカしたポケモンの中に例の死体と思しき人間が手持ち大砲のような形状の銃器を腰に添える形で両手で提げながら向かってきている。狙いは読めているようでシフォンは得意の壁を張る構えだ。ネロは自身の置かれた立場に歯痒さを感じながら皆まで声には出さずに頭を抱えた後で。
「……特殊には、自信ねえけど」
吹っ切れたように焔を滾らせたその手を突き出す。
「文句言うなよ!」
始まる。
「はああっ!」
暴走メガシンカ状態のポケモンの物理攻撃を相殺のみならず打ち返したのはリムだった。地面に深く踏み込んで拳を使って弾き飛ばし、入れ替わり立ち替わり対処するそのすぐ傍らでローナもまた素早い身のこなしで攻撃を躱し的確に切り返していく。
「っ!」
流石に数が多い──! 同じく対処しながらルーティは思わず顔を歪ませた。無理もない話だろう──何せ各国が強制命令でポケモンを、よりにもよってこのタイミングで同じ地に返しているのだ。そんな中で暴走メガシンカを引き起こすエネルギーを放散されれば地獄絵図と化すのも必然というもの。
「ぼさっとすんな!」
差す影に振り返ったが直後暴走メガシンカしたそのポケモンは炎の柱によって弾かれていた。攻撃の起点を辿って見てみれば案の定。顔を綻ばせたのも束の間ルーティは忍び寄る影に気付いて青ざめる。
「ネロ、後ろッ!」