黒炎の絆
最強の目を持つ二人なら。
勝負は見えたものだとばかり──思っていた。
「ッ!」
暗く影の落ちた茂みの奥から放たれたのは赤紫色の腰回り程もある一閃。振り返ったルーティの脇腹を掠めて過ぎ去りその先で激闘する
「ユウ! リオン!」
──容赦なく。
「、!」
ミカゲと対峙していた二人は直撃こそ免れたがそれぞれ服の端や髪の毛先を掠める程度の隙は突かれてしまった。直後に距離を詰めて仕掛けてきたミカゲの攻撃をリオンが回避する中でユウは振り向きざま練り出した濃紫色のエネルギー弾──即ちシャドーボールを茂みに向かって放つ。
直撃したのだろう──ふらふらと覚束無い足取りで茂みの奥から現れたのは一人の女性。手持ち大砲のような形状の銃器を腰に添える形で両手で提げていたがそれ自体も被弾したようで火花を散らし、黒煙を吹かせていたかと思うと──その女性が倒れたと同時に小規模の爆発、半壊の状態となる結果に。
「大丈夫!?」
ルーティは思わず声を上げてリオンの元へ。
「り、リム?」
一方でそんな困惑の声を漏らしたのは倒れた女性の元へ駆け付けようとしたピチカだった。咄嗟に引き留めた様子の名前を呼ばれた彼女もどうしてそんな行動に出たのか分からずに返答に詰まっている。
「大丈夫──」
リオンは微笑を浮かべて応えようとしたが。
「──ッぐ……ぅ……!?」
変化が訪れる。
「か、ッ」
胸を抑えながらその場に跪くリオンにルーティは直ぐさま異変を感じ取り声を掛けながら揺さぶる。心拍数の上昇に血液が沸騰するようなこの感覚は今更知ってはいても慣れるものじゃない──リオンは頭で状況で理解しながらも急激な身体の変化に上手く声を出せずにいた。
「ユウ!?」
どさりと何かが地面に横たわる音にルーティが慌てて振り返ってみれば、案の定。何が起こっているのか分からずともその原因が先程の攻撃にあることだけは分かる──ルーティは顔を歪ませながら正気だけは保てとばかりに必死に揺さぶったが、過呼吸に近い呼吸を繰り返しながら遂に諦めにも似た苦悶の表情を浮かべたリオンは瞼を伏せて声を絞り出す。
「ッ……離れて、くれ……!」