黒炎の絆
メガシンカとは。ポケモンの正体エネルギーと人間の正体エネルギーが掛け合わさることで起きる現象──即ち"進化を超えた進化"である。
共鳴にはポケモンとトレーナーの絆が大きく関わっているものと推測されており、その他にも現象を引き起こす条件としてポケモンは各対応するメガストーン、トレーナーはメガシンカを発現させる未知の力を秘めたキーストーンが埋め込まれたバングルを所持し使用する必要がある。
しかしながら何故メガシンカという現象が起こるのか、いつ誰がメガシンカを発現させたかについては未だに一切詳細が分かってない上に、使うと大きな力を発揮できる代償としてポケモン側にも負担がかかってしまうため競技に使用するのはポケモンに対する虐待行為だと批判的な声も少なくない。……
「今だッ!」
吹き荒れる砂塵の中で攻撃を見切った切り返し。
「、く」
それすらも見切られた上で砂塵を抜けた標的は高く高く舞い上がる。そのまま攻撃を下すものかと思いきや目指した先には虹色の玉──互いに体の芯から温まった頃合いだが標的たる彼の種族が持つ固有の能力を踏まえれば"それ"を取られた後のその先の展開は想像に容易く冷や汗が滲む。
「させませんッ!」
チームのパートナーが追って剣を薙ぎ払ったが。
「しまっ」
その攻撃すら翻した上で。
「──まずい!」
虹色の玉は蹴り上げにより砕かれて。
主人と認めたその人の力を最大限にまで引き出す。
「波導、最大──」
双眸に闘志の灯をともして。
一瞬で肉眼でも窺える程に膨張した体の縁を燃ゆる青のエネルギーを最大出力で打ち出せば。……