黒炎の絆
まずい、と。直感でそう思った。
「ちがっごめんそういうつもりじゃ」
「大丈夫だよ」
話を聞いていたマルスがルーティの肩の上にぽんと手を置き落ち着いた口調でフォローを入れる。
「そこまで見越した上での行動だと思う」
あ、……
「そうだよね、」
起立半ばの状態だったルーティは小さく言って投げ出されたようにすとんと椅子に腰を落とした。
そうだ。大丈夫。
ロックマンは賢いから。マルスの話していた通り僕がこうやって気に病むことまで見越して──それで何も相談できなかったんだ。……
「……ごめん」
胸の上に手を置いて深呼吸を数度繰り返した後で落ち着きを取り戻したルーティは一言謝った。ロックマンは憂いを帯びた表情で静かに首を横に振る。
「そう思わせたこちら側にも責任がある」
「ううん……」
「それでどーすんの?」
カービィが議題に引き戻した。
「俺たちも動画を見たが」
「拡散されてる上に変な憶測まで飛び交ってるし」
口々に述べるアイクとロイに現状は深刻どころか目を伏せたいレベルにまで達しているようで。情報収集したいところではあるがこのタイミングでネットの海に飛び込み匿名の意見を見聞きするには精神的構えが足りなさそうだ……
「よくわかんねーな」
「なんで面倒ごとはすぐ消すとか殺すとか物騒な話になるんだよ」
ディディーとトゥーンがぼやく。
「……自分のことばっかり」
顔を俯かせるリュカにネスは寄り添いながら。
「皆で協力して解決すればいーのにな」
そうはいかないのが現実だとしても。
どうして。いつも世界はそうならないんだろう──
「あ」
食堂の扉が開く。
「兄ちゃん」
トゥーンの声にルーティは顔を上げた。