地獄の参観日



場面は変わって。

すま組の教室では担任でもあるガノンドロフによる歴史の授業が行われていた。

「──キノコ王国の初代国王の名前は?」
「ヒラ・マイマイ=エノキダケ」

指名されたピーチはサラッと答えて席に着く。

「流石ですぞ。姫……」

彼女の両親は今日この授業参観には現れなかったらしく代わりに足を運んだと見られる召使いと思しき年老いた男がハンカチを片手にほろり。

「現ハイラル国王の名前は?」
「ローム・ボスフォレームス・ハイラルです!」

今度はゼルダが手を挙げて回答。

といった具合に現在は教科書を読み進める手を止めて問題に対する回答を促している真っ最中。成績に関与しないこういった様子が見られるのも授業参観ならではの醍醐味である。

「あの子も早く手を挙げて答えないかしら……」
「本人ガチガチに緊張してっけどな」

思わず手に汗握るルピリアに薄ら笑うクレシス。

「レイアーゼ革命が起こった年月日は?」

これには、うーんと唸る声。

「急に難しそうだね」
「千七百年辺りじゃなかったかのう」

苦笑いのジェームズの横でドンキーとディディーの保護者であるクランキーコングが顎に手を添える。

「それやったらジイさんが答えたってくれへん?」
「アホ! 自分で答えんか!」

椅子に腕を掛けながら振り返るドンキーにすかさず指の代わりに杖が差された。

「なんや厳しいなあ」

と唇を尖らせている間に手を挙げる影。

「リオン」
「千七百九十年、……四月十二日」

おお、とこれには感心の声。

「レイアーゼ国内にある世界遺産の数は?」
「……三十二」
「中央司令塔が竣工しゅんこうした年月日は?」
「千九百六十年の」

ほんの少し言葉を切らせた後で。

「……十一月、二十日」

言葉に詰まりながらではあるものの全問正解。思わず拍手が起こる中でユウの父親たるトキが周囲に気付かれないようそっと教室の戸を開けて廊下を覗き込んだ。そのタネを見るや否や苦笑にも似た笑み。

「過保護ですよ。お父さん」
 
 
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