地獄の参観日



不平や不満。反して期待による高揚や胸の高鳴り。

様々な思惑の交差する昼休みを終えて。……


「──母さんっ!」

すま組の教室。

「もう。大声なんてあげちゃって」

恥ずかしいわよ、なんて笑いながら駆け付けてきたルーティを受け止めるのはその母親のルピリア。

周囲に感化されて何とはなしに不安を感じていたが心の中では今か今かと待ち望んでいたのだ。教室の戸が開いて各々の父兄が入室する都度心臓は高鳴りを見せていたがいざ自分の番が来たともなれば堪えきれず。ルピリアはルーティの頭をひと撫で。

「ちゃんと手を上げなさいね?」
「うんっ──」
「うええぇえええっ!?」

負けず劣らずといった声量で声を上げたのは。

「お父さんが来ちゃったの!?」

ルーティが顔を向けると信じられないといった様子で父親のクレシスを見上げるピチカの姿があった。

「何だ。見られて困るモンでもあんのか?」
「違うよぉ! だって、お母さんは!?」
「スピカのクラスに行った」

ピチカの兄のスピカのクラスといえば一部生徒の姿形をコピーしたダークシャドウと呼ばれる褐色の肌に黒髪、赤目でその上性格や個性に特徴のある問題児ばかりの通称不良クラス。

「だめだよすぐに入れ替わって!?」

彼女がこうして焦りを見せるのも無理もない。

おっとりとしていて柔らかな印象のある母親より厳格で気の強い父親の方が例え何かあったとして頼りになることだろう(と言っても授業参観に来ているわけだが)。慌てるピチカに反してクレシスはやれやれといった具合に息を吐き出すと。

「心配すんなって」
「大丈夫だよ」


口を挟んだのは。


「……えと」

誰だか分からない。

「よう。半世紀ぶりだな」
「何だかそんな気もしてくるな」

仲は良さそう。

「ピチカ」

ルーティがネタバラシの耳打ち。

「ユウのお父さん」

ともなれば本日何度目かの。

「……ふええぇええええっ!?」
 
 
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