地獄の参観日
噂をすれば何とやら。
「と、とととっ、父さん……!?」
フォックスが驚くのも無理もない話で。
ルーティの後ろで爽やかな笑顔を湛えて立っていたのはその父親たるジェームズだったのである。
「教えてくれてありがとう」
「い、いえ」
口をはくはくとさせているフォックスに構わずにこやかに礼を述べるその人にルーティは戸惑いを隠し切れないながらも返事を返す。──フォックスのお父さんのこと、初めて見たけど長身でサングラスを掛けていること以外はそっくりだなぁ……
「おっと」
かと思えば瞬時に詰め寄った影が回し蹴り。
「やあウルフ。君も同じクラスだったなんてね」
「今すぐくたばるか帰るか選びやがれ」
なんか怒ってるー!?
「意地の悪い質問だ。私は授業参観に来たのに」
「う、ウルフ! 人のお父さんだよ!」
込み入った事情など知る由もないルーティが声を上げれば腕で防がれながらも足蹴を入れた姿勢だったウルフは酷く顔を顰めた後で盛大な舌打ち。脚を退けると荒々しい足付きで去っていってしまった。
「す……すみません……!」
「丁寧な子だね。大丈夫だよ」
ジェームズは気にも留めてない様子。
「じいさんも来てンのか?」
「ペッピーのことならスリッピー達のクラスの方に行ったよ。私も彼らに挨拶したいところだけど行くと余計な混乱を招くからね」
次いで質問を投げかけるファルコの言葉遣いも意に介さない様子で答えてくれたがひょっとしてこの人はとんでもない有名人なのだろうか。
「私はぐるっと見て回ってから教室に向かうよ」
「お、俺も行くよ!」
「親孝行かい?」
「言った側から見つかったらどうするんだ……!」
……何だか大変そうだ。
「、?」
ふとルーティが目を向ければ廊下の半ばでカービィが窓を開けて何やらじっと空を見上げていた。空は晴れているし天候的な問題はなさそうだが。
「どうしたの?」
不思議に思って訊ねてみる。
「いや」
カービィは真剣に凝視しながら。
「来てるかなって」
「……お父さん?」
「うーん」
「お母さん?」
「内緒」
……何が来るんだ。