地獄の参観日



……、……!?


「えええぇええええっ!?」


と声を上げたのは全校集会を終えた戻りの廊下。

「お母さんとお父さんが来るのっ!?」

皆の心の声を代弁するかの如くまるで時限爆弾のように遅れて声を上げたのはピチカだった。隣を並んで歩いていたリムは驚いて肩を跳ねて振り向いたが苦笑いを浮かべて取り繕う。

「本当……無茶苦茶よね」

双子の弟であり教頭先生であるクレイジーと比べれば幾分かマシな程度には話が通じるし理屈も通っているのがマスターだがそれでもこうして時折警戒の範囲外から権力で殴ってくるのだから困る。

「五時限目の授業って確か」
「歴史だったわね」
「うぅう、全然勉強してないよぉ」
「こういうのって案外親も分かってないものよ」

そう話した後で。

「まあ……私たちはいいんだけど」

リムは視線を流しながら。

「他の皆が、ね……」


お通夜ムード。


「、……」
「チッ」

特に分かりやすいのがユウとリオンである。

いつもなら夫婦漫才ともいえよう年齢指定必至なやり取りを繰り広げているところだが今回ばかりはそれぞれ別の方向に視線を預けて酷い意気消沈と苛立ちがはっきりと窺える。そういった様子はもちろん彼ら以外にも見受けられるが彼らの深い闇を抱えた家庭内事情を知った上でこれは憐れむ他ない。

「そ、早退する?」
「したところでもう遅い」

ルーティがおずおずと気を利かせたが八つ当たりの如く吐き捨てるようにしてこの回答。未来が視える目を持つ彼が言うのだからまず間違いないだろう。普段戦術の授業以外で能力を使うなと先生方に言い付けられていたばかりに仇となってしまうとは。

「ばーちゃんクラスの場所分かるかなぁ」
「昼休みに迎えに行けばいんじゃね?」

もちろん非歓迎な生徒ばかりでもない。

急なハプニングイベントとはいえ学生服をまとって机と向き合い学業している様子を肉親に見られるというのは新鮮なもの。

「俺らもじいさん迎えに行かなアカンな」
「じゃあ皆で一緒に行こうぜ!」

とまあこんな感じで微笑ましいやり取りを繰り広げていたトゥーン、ディディー、ドンキーの三人を横目にしていたフォックスをファルコが肘で小突く。

「お前も迎えに行ったらどうだ?」
「ええっ、父さんを?」

不意に肩を叩かれたルーティが振り返る。

「父さんなら大丈夫だよ。多分」
「たまに抜けてるとこあっからな。お前と同じで」
「どういう、」
「……フォックス」

ルーティの声に振り返れば。

「お父さん来てるみたいだけど」
「やあフォックス」
「うわあああぁああああっ!?」
 
 
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