地獄の参観日
レイアーゼ学園。体育館兼用の講堂にて。
「……であるからして」
卓上マイクを通して男の声が響く。その日の四時限目は全クラス共に授業ではなく全校集会だった。
全校集会といえば学校の最高責任者たる校長先生が教育や学校運営の方針を先生や生徒に伝えるという恒例行事。ほんの数分で終わるものかと思いきや本編から逸れて最近のニュースや流行りに触れている内にあっという間に三十分以上の時間を掻っ攫う。
「……ふぁぁ……」
昼食込みの昼休み前とはいえこれでは眠気を誘うというものであちらこちらの生徒がうとうと。その内の一人たるパックマンが欠伸を洩らしたがこればかりは誰も咎めなかった。生徒会長たるロックマンが遅れてひと睨み利かせたが対処が追い付かない程度には皆が皆限界といったところ。
いくら饒舌で口達者なマスター校長先生でも。
これに関しては。さっさと終わってほしいわけで。
「……以上だ」
話の締め括りたる台詞が聞こえて生徒らは忙しなく姿勢を正し始めた。もうひと踏ん張りである。
「くく」
マスターは惨状を目に笑みを零す。
「随分と情けない顔が並ぶじゃないか」
誰のせいだ。
「寝る子は育つと言うからな。学力の成長が望めるなら本気で寝てくれても構わないが」
この期に及んでまだ話を引き延ばすつもりか。
「……まあいい」
マスターは薄笑みを浮かべながら。
「目垢と涎にまみれた顔では神聖なる我が学園の校風に関わる。顔でも洗って午後からの授業参観ではしっかり身を入れるように」
ん?
「すみません」
家庭科担当教師のリンクが片手を挙げる。
「今……授業参観と仰いましたか」
暫しの無言を挟んで。
「保護者各位には一週間前から連絡を回してある」
マスターは屈託のない笑顔で。
「先生方も気を引き締めるように」
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