ハチャメチャ!辛口お見合い審査員!?
ブランの敷地内の森の中。
ふわりと可憐に気儘に飛び回る。
「うふふふふっ」
──ああ、楽しい!
「おにいさま達はきっと今頃おおあわてね」
そう呟いて忍び笑いをするのは白無垢から普段着に着替えて空を舞うシアだった。
お見合いの相手が決まるまで膝の上に手を重ねて置いて一人一室でじっと待つのが飽きたのかといえばそれはそう。一時はその存在を恨み憎しみ羨んだ肉親を困らせたいが為かといえばそれもそう。両方が重なって行動に結び付いたのが最も正しい答え。
何と言っても自分は箱入り娘。
なんて。
不自由な籠の鳥なのかしら。
「……あら」
どれだけ手入れの施された羽根でも使わなければ模造も同じこと。こうして自由気儘に飛び回ることは羽根の勝手を忘れない為といっても過言じゃない。
「もうこんなに色が変わってしまって」
必要な時間を与えてくださったおにいさま達には感謝の意を示さなければ──なんて心にもないことを思いながら木の枝を飾る葉を触れる。いつの間に、夏を過ぎて秋を迎えていたのか。幼少の頃──紅葉狩りというものがあると聞いた時はなんて物騒な習わしだろうと勘違いしたこともあったがこうして直に目にすると季節の色や匂いを五感を持って自由に楽しめる大衆が何とも羨ましく映り込む。
「ふふ」
恨み辛みは過去のこと。
私だって楽観的に思考を転じる術を得たのだから。
「またいつか」
決して不自由にはならない。
思い通りには。
……そう。
それはお見合いだって同じ──
「!」
不穏な気配を察知して瞬間転移で一メートル程横に転じればそれまで向き合っていた木の枝が三日月の斬撃によって落とされた。シアは振り返る。
「いけない」
不意を狙ってあからさまな殺意を向けてきたその影を天色の双眸で見据えながら。
「迷い込んだのね」