ハチャメチャ!辛口お見合い審査員!?
そういえば。
先程から物音ひとつしない。
「トイレにでも行っとんちゃう?」
「デリカシーの欠片もありませんね」
「言い方を考えなさいよ」
「失礼だぞドンキー殿」
リンクやリムが咎めるのはまだ分かるのだがまさかリオンまで腕組みながら指摘するものだとは。流石(プロフィール上は)紳士の男──
「そこは聖水を捧げに行ってると正すべきだ」
前言撤回。
「失礼なのはどっちやねん」
仕事の早いユウに瞬時に踏み倒され、頭を半分減り込ませる程に強めの体重をかけられて痙攣しているリオンにドンキーはジト目。
「んもぅ」
リムは呆れながら襖に手を掛けると。
「ごめんなさいねシアちゃん騒がしくって──」
そっと開く。
「せやけどトイレくらい行くやろ」
「断りを入れて席を外すものですよ」
「テレポートでぱぱっと行ったらええやん」
「種族的価値観の違いですね」
「誰がゴリラや──」
「ねぇ」
やり取りの最中リムが口を開く。
「シアちゃんがいないんだけど」
え?
「そんなアホなこと……」
ドンキーは俄かには信じられないといった様子でリムの横から覗き込む。そこに話した通り目と目が合えば柔らかく笑って挨拶を交わしてくれるであろう本日の主役たる彼女の姿はなく──
「ホンマやがな!?」
遅れて事態に気付いたユウは二人の間に割り込んで襖を大きく開け放つ。
「っ……!」
「しかもあれ服着替えちゃってない……!?」
リムが指摘した通り彼女が待機していたはずの一室にはよく見れば白無垢が畳んで置いてある。
「っちゅうことは素っ裸!?」
「なんでさっきからリオンが言いそうなことを貴方が言うんですか」
ボケなのか正気なのか声を上げるドンキーに呆れた面持ちでツッコミを入れるリンク。
「まずいのではないか?」
リオンが訊けばユウは一層顔を顰めて。
「……探すぞ!」