ハチャメチャ!辛口お見合い審査員!?
ずしん、ずしん、と。
さながらギャグのような足音が迫ってくる。
「か、顔だけで選んだらアカンで」
「顔以前の問題でしょ……!」
「この日の為にわざわざ足を運んでくださったのに感情を顔に出すのは失礼というものですよ」
向かいの座布団に座れば畳が抜けるのではないかというレベルの悲鳴を上げた。青ざめながらもぎこちない笑みを浮かべて必死に取り繕うドンキーとリムに反してリオンとリンクは冷静に分析。
「大きいな……」
「ゴロン族の中でも巨体の方ですね」
「従兄妹殿の体の負担が重いのではないか?」
「そっちでしたか」
暫くお待ちください。
「本日は御足労頂きありがとうございます」
リオンとリンクの頭の上に立派なたん瘤が飾られていたのは残当といったところだろう。それにしては制裁を下して尚拳を握り震わせているリムに反して二人は何でもないような顔をしているが。
「ここからの話は窺っておりますか?」
「任せるゴロ!」
五人は座卓の上に予め用意されていた白い紙を手に内容に軽く目を通す。そこには今まさに向かい側に座っているゴロン族の男の個人情報基プロフィールが記されておりこれを参考に質問を投げかけ、その受け応えを見て判断しろとの御達しのようだった。
「趣味は?」
早速リンクがにこやかに質問する。
「鉱石掘りゴロ!」
ゴロン族らしい回答である。
「仕事は?」
「収集した鉱石を厳選後、機械に頼らずに手作業で研磨して更に加工をしたものを鉱山の麓にある町で良心価格で販売しているゴロよ!」
プロフィールに記された内容と相違ないようだが。
「収入にばらつきがあるんとちゃうか?」
「鉱山によりますね」
「デスマウンテンの鉱石は最高級の品質ゴロ!」
「ほぉ……」
ぱっとしない様子のドンキーに。
「このくらいの大きさでも百は下らない価値がありますからね」
リンクが親指と人差し指を使って丸を示せば。
「ほなうちの嬢さんをよろしく頼んます」
これである。
「ちょっとあんた何考えてるのよ!」
「っぱ、世の中金やろ」
「あのねぇ!」
一方でリオンは顎に手を当てながら紙に目を通しており何やら気掛かりな様子。
「シア殿との面識は?」
「実は昔経営が傾いて一度ここを頼らせてもらった時に顔を合わせているゴロ」
ゴロン族の男は伏せた瞼の裏に情景を思い浮かべて懐かしそうに腕を組みながら。
「彼女はオレを覚えてないと思うゴロが」
繰り返し頷いて。
「まるで宝石のようにキラキラとして綺麗な女の子だったことを覚えているゴロ……」