ハチャメチャ!辛口お見合い審査員!?



シア・ブラン──彼女の初出はまた別の書物での話となるので分からない人の為にもその人物像について軽く触れておくのだが、彼女は数ヶ月前、従兄妹であるユウに対する強い恨みや妬みからポケモンの種族の戦士複数名を洗脳という形で手中に収め復讐しようとしたその愛らしい見た目からは全く想像も付かない恐ろしい少女なのである。

種族はミュウ。薄い桃色のショートヘアにサイドには猫耳のような三角形のお団子。長い睫毛の下から覗く瞳は澄み渡った空の色。顔を突き合わせた人は皆口を揃えて「全然似てない」と驚くのが定番。


さて。

そんな彼女が唐突に呼び出したかと思えば白無垢に身を包んで五人を迎えたのである。


「まだ十八やなかった?」
「そうよ」

ドンキーに続けてリムは片頬を手で包みながら。

「一つしか違わないのに。何だか焦っちゃうわ」
「おーおー。帰ったら同じこと聞かせたれ」
「誰に聞かせるのよ」

不思議なくらい進展しないものである。

「それにしても早いものですね」
「ブランの家系は二十歳までに婚儀を済ませるのが仕来りだからな」


おや?


「……ユウの年齢は?」
「十九だが」
「適齢期ですね。少し遅いくらいでしょうか」
「おーい急かされとるでー」

リンクとドンキーが口々にからかえば。

「結婚しよう」

案の定。

「海沿いに一戸建てを買おう。ユウと私の子どもだ英才教育までは必要としないだろうが習い事は二つか三つほど──武術は絶対だ今の時代物騒だからな自分で身を守る手段は持っておいた方がいい。そうだ子どもの子どもは何人くらいがいい私は最終的な家族構成は十人程で生涯を閉じたいのだが、」
「鬱陶しい!」

詰め寄るリオンを背負い投げ。

「そのよく回る舌を抜いてやろうか」
「抜くなら別の所がいいです」
「やめなさいよシアちゃんの前で!」

うつ伏せに倒されたリオンの下腹部を足で踏み付けながら青筋を浮かべて見下すユウに大慌てのリム。

「すみません。いつもこうなんです」
「焚き付けたくせによく言うわよ!」
「おしどり夫婦ってやっちゃな」
「火に油を注がないの!」
「油どころかガソリンかもしらんゆうてな!」
「こら!」

……揃いも揃って賑やかなことである。

「ところで」

リンクはこの状況に憚らず笑顔で両手を軽く挙げて憤慨するリムをどうどうと落ち着けながら。

「婚約者様はどちらに?」
「これから決めるんです」


え?


「そのために、本日は皆々さまをお呼び出しさせていただいたのですから……」
 
 
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