ハチャメチャ!辛口お見合い審査員!?
事件発覚から解決に至るまでそれほど時間を有さなかったお陰で関係者からお咎めを受けなかったのは不幸中の幸いだったのかもしれない。何より彼女の両親──特にその父親はブラン当主であるが所以か極めて厳格且つプライドが高いのだという話。耳に入る前にと焦りも覚えたが要らぬ心配だったようで気を取り直して引き続き彼女のお見合い基審査員として励もうと五人が五人意気込んだが直後。
「お見合いを取り止めます」
……え?
「お父さまとお母さまには私からお話します」
「ど、どうしたの。シアちゃん」
「気が変わりました」
元より乗り気だったかと言えばブラン宗家の長女としての役割を全うしようとしていたかのようにしか見えないが。それにしたって両親の指示には決して背かず微笑みを湛えながらおとなしく従うばかりの彼女がそんなことを言い出すなんて。
「ええんちゃう?」
「我々が口を出すことではないですからね」
初めに案内された一室の中。深々と座礼をしたシアは顔を上げきる前に瞬間転移を使って姿を消した。五人は肩を並べて正座した状態で暫く黙っていたが戻ってこないものと確信すると。
「……恋かしら」
「恋だな」
「恋ですね」
「恋やんなぁ」
ユウは鼻を鳴らす。
「あの男か?」
「ジブンは目の前で何を見とったんや」
「ただの確認だ」
「信じたくないんですよ。シスコンですから」
「心配事が減るどころか増える一方やなぁ」
「殺すぞ」
実際面白くないものかと思いきやユウの表情は何処となく安堵していた。よくも分からない古くから続いてきた仕来りに反抗する素振りひとつ見せず──それこそ傀儡であるかの如くただ従うだけの生涯を送られるより今回のこの選択は遥かにマシな人生の彩りを得られることだろう。……
「リオンは何か視たの?」
先程はきょとんとしていたが彼もまたポーカーフェイスの得意な男である。これに関しては能力が故、そこも上手くないと成り立たないのだろう。
「ふふ」
リムの質問にリオンは意味深に笑み。
「まるで桜の花が咲くような温かな感情を視たよ」
「っはぁー! 恋やんか」
「聞いているだけで甘酸っぱいですね」
ドンキーとリンクは口々に唸る。
「お相手の方は?」
「秘匿にするかのように濃紫の靄が掛かっていたがその奥に陽だまりのような仄かな光を視たな」
そう話した後でリオンは腕を組みながら。
「だがあの感じ、やはり何処かで──」
「私たちは世間話の為に此処に来たわけじゃない」
「面白くないんですね」
「おもろないんやな」
「置いていってもいいんだぞ」
ユウは顔に青筋を浮かべている。
「じゃ、元の服に着替えちゃわないとね」
「ええんちゃう?」
「せっかくですしこのまま着て帰りましょう」
「だってこれ動きにくいわよ?」
「まあまあ」
どんなに冷たい冬にも。
その"訪れ"はあるのだろう。
「二度目の春が見られるかもしれませんよ?」
土の中で膝を抱えて
芽吹く時は──もうすぐそこに。
「どういう意味よ」
「ほんまに鈍臭いなあ」
「ええ?」
「我々ももはや一連の流れをエンターテイメントとして楽しんでいる節がありますから」
「ちょっと! 私にも詳しく説明しなさいよ!」
「説明してもいいんだが──」
「こういうのは放っておくのが一番ですよ」
「そーそー」
「なによ男子だけで意気投合しちゃって」
「おい……さっさと支度を」
「お兄ちゃんこわーい」
「誰がお兄ちゃんだッ!」
end.
14/14ページ